日本の作業療法士の亜急性期(回復期)の脳卒中患者へのADOC (Aid for Decision-making in Occupation Choice) を評価に用いた実際の作業への介入と患者の汎化された活動やADLに従った従来の評価と機能改善を主とした介入による変化を比較検証しています.結果の中に危険率(有意確率p<0.05など)だけでなく,効果量(effect size)にて群の差を検証しています.研究における差の検出には,危険率は,標本数の影響を受けるため標本数の影響を受けない効果量.信頼区間(CI)も併せて検証されることが求められつつあります.また,この効果量は研究を開始する前の妥当な標本数(参加する対象者の人数)を考慮する際にも使用されます(検定力分析).一度,統計の用語の整理をされると統計の危険率が絶対でないことを理解して論文を読む機会になると思います.
目的:作業を基にした作業療法と機能を基にした作業療法の比較と患者の募集と保持(研究期間時の脱落者がないこと)の実行の可能性を測定するため
研究デザイン:一重盲検による多施設,無作為,比較予備的トライアル
環境:回復期リハビリテーション病棟
参加者:回復期病棟入院中の脳卒中患者54名
介入:ADOC (Aid for Decision-making in Occupation Choice) を評価に用いた実際の作業への介入と患者の汎化された活動やADLs従った従来の評価と機能改善を主とした介入
主たる評価指標:QOLの指標としてSF-36,ADLの指標としてFIM,運動機能としてBrunnstrom recovery stages,主観的な満足度としてClient Satisfaction Questionnaire,在院日数
結果:16か月の登録期間で1465名の対象者の内,54名(3%)が登録でき,2か月間の研究期間時には36名(作業介入群16名,通常介入群21名:原著の人数をそのまま記載しております)が残った.結果,両群に統計的な差は認めなかった.作業介入群においてQOL尺度のSF-36の下位項目の「全体的健康感:健康状態の主観的な感覚」と「日常役割機能(精神):日常の生活,仕事を行う上での心理的な理由による問題の有無」は,効果量小のアドバンテージを認めた.
結論:大規模なトライアルによる検証が必要であるが,効果量小のアドバンテージから作業への介入を行うことは,主観的な健康感の向上やや日常の生活,仕事を行う上での心理的な理由による問題の減少に効果があるかもしれない.
Title:Comparison of occupation-based and impairment-based occupational therapy for subacute stroke: a randomized controlled feasibility study
Author:Tomori K, Nagayama H, Ohno K, Nagatani R, Saito Y, Takahashi K, Sawada T, Higashi T.
Clinical Rehabilitation 2015, Vol. 29(8) 752–762
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25381345
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