脳卒中患者に対する治療法の一つとして、一側上肢を動かしながら鏡に映った手を見るというミラーセラピーがあります。通常は患側の前に鏡を置いて鏡に映った健側を見るというもので、半側空間無視を呈する患者だと、その動きを認識しているかどうか統率がとれないため、除外基準となっていました。
しかし、今回はその除外基準とされていた半側空間無視患者にミラーセラピーを行った報告です。
題名「Mirror therapy in unilateral neglect after stroke (Must trial): a randomized control」
目的:脳卒中後半側空間無視患者におけるミラーセラピー(以下MT)の効果検証。
方法:脳卒中後48時間以内に半側空間無視を発症した視床、頭頂葉損傷患者を対象とした。MT群とコントロール群にランダムに分けた。介入期間は4週間とし、週5日、1日1〜2時間介入した。主効果は星抹消試験、線分二等分試験、写真同定試験とし、ブラインドされた評価者が1、3、6ヶ月目に実施した。
結果:48名(MT群27名、コントロール群21名)が参加した。6ヶ月評価において星抹消試験、線分二等分試験、写真同定試験で有意に改善した。
考察:脳卒中患者において、MTは半側空間無視を改善させる簡単な方法である。
この研究では、MTでなくてはならなかったのかが疑問になります。コントロール群は鏡の代わりに木の板を見ていたのですが、鏡を通して健側の動きを見ることがいいのか、単に患側への注視が効果を及ぼしたのかどうか不明です。今後を期待出来る論文でした。
Mirror therapy in unilateral neglect after stroke (Must trial): a randomized control
Jeyaraj D. Pandian, Rajni Arora, Paramdeep Kaur, Deepika Sharma, Dheeraj K. Vishwambaran, Hisatomi Arima.
Neurology 2014: 9; 83 (11): 1012-7
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25107877
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