パーキンソン病における視床下核-脳深部刺激療法(STN-DBS)術後早期の言葉流暢性課題成績が認知機能の長期的なアウトカムを予測するか

 

 

 

 

近年,STN-DBSは運動機能障害を有する早期のパーキンソン病患者のQOLを高めることが示されており,早期のSTN-DBS施行が推奨されています.またパーキンソン病におけるSTN-DBS後の早期の言語流暢性低下と実行機能の低下は,視床下核への電気刺激に伴う認知機能の微細な障害が関連する可能性が示唆されていますが,STN-DBS術後の認知機能低下の特徴や経過について一定の見解は得られていません.今回はパーキンソン病におけるSTN-DBS術後早期の言葉流暢性課題成績が,長期的なアウトカムを予測するのか検討した論文をご紹介します.

 

 

 

<対象と方法>

 

24(平均年齢63.5 ± 9.5 ,平均罹患期間12 ± 5.8)のパーキンソン病患者を対象とし,意味的及び音韻性言語流暢性課題を含む神経心理学的検査をSTN-DBS術前,術後3日,術後3か月,術後6か月に施行した.

 

<結果>

 

術後急性期の言語流暢性課題成績は、意味的言語流暢性課題44.4 ± 28.2%,音韻性言語流暢性課題34.3 ± 33.4%であり,両者とも術前の水準と比較して有意な低下を認め(P0.05),その低下は6か月続いた.回帰分析では術後急性期の音韻的言語流暢性課題成績が,6か月後の音韻性言語流暢性低下の独立因子として示された.対象の年齢は,認知症を伴うパーキンソン病(PDD)の唯一の予測的な独立因子であった(P0.03)

 

<結論>

 

術後急性期の音韻性言語流暢性低下は長期的な音韻性言語流暢性低下を予測する可能性が示唆された.

 

 

 

Does early verbal fluency decline after STN implantation predict long term cognitive outcome after STN-DBS in Parkinson’s disease?

 

Alaina Borden,David Walon,Romain Lefaucheur,Stephane Derrey,Damien Fetter,Marc Verin,David Maltete

 

Jounal of the Neurological Science 346(2014)299-302

 

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022510X14005097