半側空間無視の介入には覚醒度や持続性注意の訓練がより重要かもしれない

 

半側空間無視(USN)は、しばしば非空間性の注意障害(持続性注意、選択性注意、覚醒度)を伴う。近年の研究では非空間性の注意が、USNに影響していると考えられており、持続性注意や覚醒度を上げる介入がUSNに効果的であったとする報告が散見される。例えば*Tonic and Phasic Alertness TrainingTAPAT)をUSN患者に実施したところ、介入後に、視覚的探索や二等分試験に改善がみられたという報告がある。この実験では、TAPATを用いた介入の目的が覚醒度を上げることを目的としているならば、TAPAT課題は視覚的な課題でなくても(聴覚的課題でも)USNに効果的なはずである」、ということを検証している。8名の患者に聴覚的なTAPAT9日間(36min / day)実施したところ、待機群と比較して、介入後の視覚探索、二等分試験などで有意な成績の向上がみられた(3週後には待機群と変わらないくらいに成績が戻った)。重要なのは、聴覚的TAPATが、モダリティを超えて、視覚的なUSN評価の成績を改善させたことである。USNには覚醒度や、モダリティを超えたより上位のシステムが影響しているかもしれない。

 

 

 

*聴覚的TAPAT:音刺激の中でターゲットとなる音を決めておく。ターゲット音とDistractor(妨害刺激音)をランダムに鳴らし、被験者には、ターゲット以外であればボタンを押し、ターゲットであれば反応しないように指示する。

 

 

 

Van Vleet TM, DeGutis JM. (2013). Cross-training in hemispatial neglect: Auditory sustained attention training ameliorates visual attention deficits. Cortex, 49, 679-690.

 

 

 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22578712